ついて行ったらどうなった!?〜ナンパ実態調査の記録〜byE子

     
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女性の皆さんはナンパされたとき、いつもどのように対応しているだろうか?

全く聞こえないフリをしているだろうか。

イケメンだったら話を聞いてみたりするだろうか。

一般的にはスルーしてしまう人が多いのかもしれない。

 

ナンパ野郎の目的はライトな出会いと遊びであり、中には危険人物もいるかもしれない。

わざわざそんな一期一会を大切にする必要はない。

確かにそうかもしれない。

しかし、「出会い方」がどうであっても、愛は生まれることがある。

ということについて、今日は語りたいと思う。

ナンパについて行ったらこうなった!

私はE子である。

街を歩けば、2秒でナンパされる女である。

ツイッターでナンパに関するエピソードを語ると、「本当の美人は絶対にナンパされない」「ナンパしてる男の子に聞いたら、ブスにしか声かけないって言ってた」などの、貴重なご意見を頂戴する。

 

いやいや、落ち着けや。

「ナンパされる私って、本当に美人!モテモテ!」なんて全然思ってねぇから。

単に、ナンパされたエピソードについて話してるだけだから。

そもそも、世の殿方が声をかけるのも憚るほどの美女じゃねぇから、私。

普通にナンパされる程度の、平凡な顔立ちのアラサーの独身女だから。

な、分かったら深呼吸してそこに座って話を聞け。

 

では、話していこう。

これは私が連続してナンパについて行き、生態調査をしていたときの記録である。

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  • 高学歴&一流企業勤務のエリートサラリーマンを自称する男

    その日、私は女友達とランチの約束に少し遅れそうになりながら、街を歩いていた。

    信号待ちをしていたときに、声をかけられた。

    「こんにちは、これからどこか行くんですか?時間あればお話したいんですけど」

     

    時間はないのだが、今は信号待ちをしているので男は続けて話しかけてくる。

    「家はこの近く?あぁ、そこなんだ!俺も昔あそこに住んでたよ、○○って店が美味しいよね!あ、知ってる?じゃあさ、××は?」

     

    信号はなかなか青にならない。

     

    男のトークは軽快で感じがよく、なにより長身のイケメンであった。

    私のタイプには完全に合致しており、私はちょっと困りつつも聞かれたことに回答しているうちに話が盛り上がってしまった。

    信号が青に変わり、私は「それじゃあ、失礼します」と言って男のもとを立ち去ろうとする。

    が、相手はナンパをするような男である。

    「お願いだから、連絡先だけ教えて!嫌だったらブロックしてくれていいから!」と言われた。

     

    このとき、私が連絡先を交換した理由は、男がイケメンだったというのももちろんあるが、なにより、話していて感じがよかったからだろう。

    私がナンパされて連絡先を交換するのは、必ず、会話にホスピタリティがあって、わずかな時間でも「ちょっと楽しいな」と感じた場合だけである。

     

    感じのよい、気持ちのいい会話を提供してくれるナンパ野郎には、私は敬意を払う。

    男は何度か私に連絡をしてきたが、当時彼氏がいた私は、その誘いを断っていた。

    そして3ヶ月、半年、1年と月日は過ぎ、ついに私の気が向くタイミングが訪れた。

    満を持して、二人は再会を果たす。

     

    男は店を予約してくれた。

    「何系のお店ですか?」と私が聞くと、男は「洋食かな、女の子が好きそうなオシャレな感じの店だよ、着くまで内緒ね!」と言った。

    そして、着いた店は、

     

    KICHIRIだった

     

    KICHIRIをディスるつもりは全くない。

    むしろ、居酒屋チェーンの中では一番好きかもしれない。

    それなのに、こんな言い方をして申し訳ない。

     

    でも、流れが流れだからさ、言わせてください!

    KICHIRIかよ!!!!!!!!

    ふぅ。

    大変申し訳ない。

    本当に、KICHIRIが悪いわけではない。

    悪いのは男だ。「店に着くまでのお楽しみだよ★」的な演出をするのはよくない。

    期待値を上げると、がっかりしやすくなるからな。

     

    さて、この時点でこの男、なかなか怪しいかもしれないと不安はよぎっていた。

    そしてそういう不安は的中するものである。

    「俺さぁ、そこそこ頭の良い大学を出て、誰でも知っているような一流企業で働いているからさ

    と、彼は連呼する。

    なら大学名と会社名を言えや。

    と、あまりに気になるので問いただすとなんと、彼は私の出身大学よりも偏差値が10以上下の大学のご出身であった。

    (偏差値で人を判断するつもりはないが、堂々と良い大学を出ていると言うのでハーバードくらい出ているのかと思ったよね、まぁ思ってないけど)

    また、会社名についてはここで公表すると、その企業の価値を下げることになりかねないので伏せておくが、私は

    あぁ~。一流企業って、そういう感じね

    という感想を抱いた。とだけ言っておく。

     

    彼の頭脳自慢は永遠に続き、

    「俺ね、ずっと弁護士になりたくて、勉強ばっかりしてたから他なにもしてないんだ。親も士職業だから子供のときからずっと弁護士になるって決めててね、それで、○○大学っていうけっこう賢い大学の法学部行ったからね!」

    弁護士になると子供のときから決めていたが、なっていないから、いま某企業で働いているわけである。

    勉強ばかりしていたから他になにも残っていないのに、勉強の功績として夢を叶えることもなかったわけである

     

    そしてこの男、自身の自慢はするのに、こちらの情報を聞き出してこない。

    こんな恐ろしいことがあるだろうか

    私は男より偏差値の高い大学の、しかも法学部出身なのである。

    私は弁護士を目指しはしなかったが、友人は何人も弁護士になっている

    司法試験にチャレンジしていない私に、この男をディスる資格はないが、本当になんとも言えない気持ちにさせられる。

     

    気まずい想いを胸に店を後にし、

    そしてそれ以後、私がその男と連絡をとることはなかった。

    無理やり家に連れ込んでコーヒーを飲ませる男

    続いては、街でショッピングをしているときに声をかけてきた男である。

    思い返せば、この男もイケメンで、正直に言うと見た目が好みであった。

    「めちゃくちゃ綺麗ですね、時間あったらお茶だけでも奢らせてくれませんか?」

    と、歩いている私の前に入り込んで通せんぼしてくる。

     

    「いえ、ナンパは結構です!笑」

    と断ると、

    「ナンパじゃないんです!僕こんな風に女性に声をかけるの初めてなんです!信じてください、今も緊張で足、震えちゃってますから!」

    と、足を小刻みに震わせる男。

    典型的なナンパらしいトーク展開だが、軽快でやや面白く、感じも良かった。

    そして何よりイケメンで良い匂いがしたので連絡先を交換した。

    後日、男と食事に行くことになったが、男の指定した店は私にとってかなり不便な場所であった。

    この時点で一抹の不安を覚えた。そしてそういう不安は的中するのである。

    食事のあと、男は「コーヒーでも飲もう」と言って私をタクシーに乗せた。

     

    着いた場所は、男の家の前であった。

     

    「いやいやいや、無いわ。マジで、これは無いわ。帰ります」

    と言って帰ろうとすると、

    男はこう言うのだ。

    「コーヒー飲むって言ったじゃん!俺、豆から挽いて美味しいコーヒー淹れるから!コーヒーだけ飲んでいってよ!」

    と。

    「いや、コーヒー飲むならカフェ行こうよ。家でって言うなら今日はここで解散!」と明言するも、

    男も男で本気である。

     

    私も現在地が分からないから、どちらに歩き出せばいいかも分からない。

    そして必死に「自慢のコーヒーを君に飲ませたい!」とプレゼンする男を見て、思いついてしまった。

    そうだ、こいつの家でコーヒーだけ飲んで帰ってやろう。

    「分かった、じゃあコーヒーだけ飲んで帰る。それ以外、絶対何もしないからね」

    私はこのように承諾の意を示し、男の家にお邪魔することにした。

    そして、当たり前だが、男は部屋に入るなり間接照明をいい感じに灯して、なにやら甘い言葉を吐きはじめた。

    「何してるの?早くコーヒー淹れて。終電もあるし飲んだらすぐ帰るから」

    「えいや、泊まっていくでしょ?」

    「言ったよね?コーヒー飲んだら帰る、それ以外何もしないって」

     

    ムーディーな間接照明の中、私たちの論争はしばらく続いた。

    最終的には男はコーヒーを作り始めたが、

    「家まで上がっておいて、何もさせないとか信じられない!本当にクソだなお前!こんな失礼な女初めてだわ!クソが!」と本気で怒っていた。

    マジで、笑えるくらい本気で怒りながら、豆を挽いて美味しいコーヒーを提供してくれた。

    男の淹れたコーヒーは本当に美味しかったが、それ以降、私たちが会うことは二度となかった。

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  • ナンパから本気になってしまった男

    いよいよ、この話をするときがきた。

    これまでの話では、ナンパにはろくな出会いがないということの立証でしかないように見えたが、この話は違う。

    なにせ、時系列で言うとこの話が一番最初なのである。

    この一件があったから、私はナンパも捨てたもんじゃない!と思い、それ以後、ナンパされて感じが良かったら連絡先を交換するようになったのだ。

     

    その日は朝から雨で、空は暗く、太陽の存在を忘れさせるような天気だった。

    私はとても悲しい気持ちで街を歩いていた。

    心から愛した男のことを考えていた。

    私が愛した男は、私のことを愛してはくれなかった。

    このまま私は、彼に愛されずに、しかし彼を諦められずに生きていくのだろうか。

    もうアラサー真っ只中なのに、結婚も無理なのだろうか。

    そんなことを考えていたら突然声をかけられた。

     

    「あの!一目惚れしました!僕と結婚してください!!笑」

     

    嘘丸出しの声のトーンで喋りかけてくるその様は、はじめて覚えたイタズラを披露する少年のようであった。

    暗い気持ちで悲しみに浸っていた私も、そのわざとらしい口説き文句に笑ってしまった。

    また、冗談でも「結婚してください」というフレーズに、そのときの私は救われた。気づいたら、

    「いいよ、結婚しようか?笑」

    と返していた。

    これが、私と彼の出会いである。

    彼は大学生であった。

    身元確認のために学生証を拝見すると、私の母校の学生証であった。

    後輩だと分かると話も弾み、彼は本当に私と話をするだけでいいと言うので、何度かお茶をして話をした。

     

    私は当時、恋愛がうまくいかず落ち込んでいたから、誰かに話を聞いてもらいたかった。

    そして、私にとっては彼の存在は心底どうでもよく、思ったことをなんでも無責任に打ち明けられた。それが心地よかった。

    彼に何度か体を求められたが、私は「好きな人がいるから」と拒み続けた。

    そしてお茶を飲んでは、私は彼に、好きな人の話をした。

    「そんな、E子のことを大切にしない男なのに、E子はそいつのことが大好きなんだね」

    と、責めもせず、ただ話を聞いてくれた。雨音が静かに心を落ち着けてくれるように、彼は静かに横にいてくれた。

     

    彼と会う日は、雨が多かった。

    好きな人に傷つけられては、その話をした。

    彼はいつも、そんな私を元気付けようとしてくれた。

    男女の関係でこそなかったが、私たちはとても頻繁に会っていた。

    私は彼との約束をドタキャンしたことが何度もある。

    私はいつも、好きな人からの呼び出しを優先させていたから。そしてそれを、彼はいつも知っていた。でも怒ることはなかった。

    その日は、冬の冷たい雨の日だった。

    私は好きな人のことを想ってボロボロ泣いていた。

    いつも淡々と事実を話す私が、その日は珍しく感情をおさえることができなかった。

     

    そのときも彼は、一緒にいてくれた。そして私を抱きしめてくれた。

    「泣いてごめんね、大丈夫だよ」と言って顔を上げると、彼も泣いていた。

    「なんで、俺じゃダメなのかな。なんで俺にはE子を幸せにできないのかな」と、彼は震える声で言った。

    今まで、彼の気持ちなんて考えたことがなかった。

    大学生が暇つぶしにしていたナンパで、ただ暇つぶしに茶飲み友達になってくれただけだと軽く考えていた。

     

    これまでの自分の対応を反省し、私は彼と会うのをやめる決意をした。

    そもそも付き合ってもいなかったが、別れ話をした。

    最後にLINEをしたとき、私はお別れの言葉に添えて、最後の一文は冗談っぽくこんなことを書いた。

    「君も、ちゃんと恋愛して本気で好きになれる子を見つけてね、ナンパじゃなくて!笑」

    と。

    それに対してきた返信が、これだった。

    「俺はE子のこと、ちゃんと本気だったよ。こんなこと言うの格好悪いけど、こんなに人を好きになったのは初めてだった」

    私がこんなことを言える立場ではない。

     

    彼を傷つけた張本人はこの私だ。

    それでも、今も願っている。

    だれか、彼を愛してくれる女性が現れて、彼を幸せにしてくれますようにと。

    もう、私のことなんか思い出さないくらい、幸せになってくれていますようにと。

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