【東麻布のラウンジでジャニー●が泣いてた夜の話】

 

もし、憧れの芸能人と一夜を共にできたなら。

 

こんな妄想に浸ったことはないだろうか?

 

「そんなのあり得ない」

「一般人にはとうてい無理」

 

私もそう思っていた。

あの夜までは。

ラウンジ嬢からの呼び出し

学生の頃の話だ。

ハタチの私は、サークルやバイトで適当に毎日をやり過ごしていた。

 

間もなく始まる就職活動を、見て見ぬフリをしながら。

 

アルバイトは、廃れた雀荘の立ち番だ。

華もない私にはカビ臭い雀荘が心地良かった。

が、女子大生のバイトとしては変わりダネで、同世代の友人はもっぱらラウンジやキャバクラで働いていた。

 

そんな「夜職組」の友人から、度々飲み会に誘われた。

 

相手は名門大学の男子学生や、社会人。

時には、大手企業の偉い人なんて事もあった。

 

その日も、バイト終わりの更衣室で携帯が鳴った。

 

麻布十番のラウンジでアルバイトをしているサオリだ。

 

「ね、今日何してる?」

 

彼女の声色で何の用件かすぐにわかる。

 

「今から飲むから、住所送るね!」

後ろがザワついていたので、すでに盛り上がっているようだ。

 

私は慌てて、バイト用の汚いコンバースからヒールに履き替えた。

 

タバコの煙が充満した雀荘を出て、タクシーに飛び乗ると、なんだか大人になった気がした。

テレビ局のおじさんと名物司会者

指定されたのは東麻布のラウンジだった。

 

店に着くと、サオリの笑い声がした。

奥の個室に案内されると、2人のおっさんが、待っていた。

「あ、どうも〜〜〜」

 

足をいっぱいに広げてソファにのけぞるのが、テレビ局員のMさん

 

50歳くらいだろうか、顎の下までもったり垂れた贅肉。

脂ぎった肌感。

なんとなく私生活の想像がついた。

 

隣は、テレビでよく見かける司会者だ。

 

2人はチビチビ飲みながら誰がどうとか、業界はどうだとか仕事の話をしていた。

 

なるほど。

今日は子供の顔をして、おとなの難しいお話を聞く日だ。

 

私とサオリはメニューにあった高そうな食べ物を、上から順に頼んだ。

パリピジャニ、突然の参戦

小一時間、経っただろうか。

どうも場がぼんやりしてきた頃、司会者が言った。

「S君達が来たがってるんですが、どうですか?」

 

S君とは、当時人気のあった男性アイドルグループのメンバーだ。

そういえばサオリは中学時代に追っかけをしてたんだっけ。

 

「すごーい!S君を呼べるんですね!」

嬉しそうなサオリに司会者もまんざらでもなさそう。

 

「いいね!呼ぼう!」

Mさんもやたら上機嫌で食いついた。

 

その場に誰を呼べるかで、自分の権威を誇示するおじさん、いるよなあ。

おっさんのセクハラに耐えるS君

私が、高そうな肉をむさぼっているとS君達が到着した。

 

オマケに、同じグループのモブキャラ、T君もいた。

 

「おはようございますー」

「おう、おはよう!」

 

S君はテレビで見るよりもずっと華奢で小顔だった。

アイドル×2、おっさん×2、女子大生の夜が始まった。

 

 

S君たちは司会者に促され、グループの曲をフリつきで歌う。

 

涙ぐましい営業努力っ!

 

こんな飲み会を何十回、何百回もこなしてきたんだろう。

たいして年が変わらないはずの彼らが、大人びて見えた。

 

Mさんはすっかりご満悦でS君の隣に座ると、彼をいいこいいこしていた。

 

これは……

 

嫌な予感がしたが、一方でS君はケロッとしていた。

 

一時間は飲んだだろうか。

Mさんは酔いがまわったようで、S君の頬にキスをしたり、太ももをサワサワし始めた。

 

司会者が、店員に目配せする。

 

「Mさん、僕タクシー呼びますね」

 

トイレに消えたS君とサオリ

私達は、ベロベロのMさんを送りに店の外に出た。

 

介抱されるMさんの背中は、哀愁ムンムンだった。

 

Mさんを見送ると、皆ゾロゾロと店内に戻った。

 

「はぁーーあ!疲れた!」

 

さっきまでアイドルスマイルを保っていたS君が、ソファになだれ込んだ。

 

「もう、すっげえ触られましたよー!勘弁してよ!」

 

気だるそうに、お酒を注文し始める。

(Mさんは男の子が好きで、過去には俳優との交際経験もあると後になって聞いた。)

 

司会者はせわしなく、帰り仕度をする。

「俺も別件あるから出るわ!若い子で楽しんで」

 

都合よく残された私達は、再びカラオケをしたり、ゲームで時間を潰した。

 

すでに深夜2時を回っていた。

 

「だってさ、俺たち芸能人だよ!?飲んだことある!?ないでしょ?」

「楽しんだ方がいいよ!せっかく俺たちと飲めてるんだから!」

「君たち本当にラッキーだから!」

 

S君は酒の勢いか、かなり尖っていた。

強気な発言は、普段のさわやかなキャラとギャップがある。

 

酩酊した様子で、立ち上がる。

「俺ちょっとトイレ行ってくるわ〜」

「あ、私も!」

サオリは、S君の後をついて行った。

モブ、吉田拓郎で突然の号泣

 

で、2人はそのまま戻らなかった。

 

残されたT君と私には、生ぬるい空気が流れていた。

 

T君はおもむろにデンモクを取り出し

 

「1曲だけ歌っていい?」

と聞いてきた。

 

手慣れた感じで『流星/吉田拓郎』を入れる。

渋い。

 

気持ち良さそうに熱唱していたT君は、サビで熱唱をやめた。

 

「?」

 

ふと顔を見ると、

 

な、泣いてる……!!!

 

ボロボロ泣いているのである。

 

私はハッと目をそらした。

男の涙というものは、どうも居心地が悪い。

見てはいけないものを見てしまった気がしたのだ。

 

まあ、いろいろあるよなあ。

芸能人だもんなあ。

 

派手なステージで光を浴び続けていると、

自分の影が際立ってしまうのかもしれない。

 

彼の苦労が音漏れしてきたようで、いたたまれない私はトイレに立った。

紙ナプキンに書きなぐった電話番号

部屋に戻るとT君は、アイドルスマイルで待っていた。

「ごめんねー!!」

気まずさを払拭するように『芸能界すべらない話』でおどけたり、私の就活相談に乗ってくれた。

 

しかし、今日はかなり飲んだ。

 

店員に頼み、タクシーを呼んだ。

 

「機会があればまた。就活頑張って」

 

帰り際、電話番号を紙ナプキンの裏に書いてくれた。

 

紙ナプキンを小さく折り畳んで小銭入れにしまうと、私はタクシーを拾った。

 

知っている。

こういう時の「機会があれば」は、だいたい実現されないものだ。

 

深夜の麻布十番は小雨が振っていた。

数年後、エレベーターでの再会

それから4年ほど経ったある日だった。

 

雀荘のアルバイトを卒業し、私は無事に希望の企業へ就職をした。

 

その日は仕事で、都内のテレビ局を訪れていた。

 

会議室へ向かうため、エレベーターに乗り込む。

すると、何人ものスタッフを引き連れた男性が乗り込んできた。

 

 

ふと目が合う。

 

「あっ」

 

T君だ、モブキャラの!

 

思わず会釈をしそうになったが、ハッとした。

 

まさか、覚えてるはずない。

私にはエモい思い出でも、彼にとっては何百、何千回と繰り返した夜のうちの一晩に過ぎない。

 

ふい、と目をそらしてしまった。

 

エレベーターの階数ランプが、1階ずつ点灯していく。

私は息を止めるようにして、時間が過ぎるのを待った。

 

6階で扉が開くと、皆ぞろぞろと降りて行く。

 

と、その時。

降り際にT君がふっと振り向いた。

 

「久しぶり」

こちらに、笑いかけた。

あ、アイドルスマイルだ。

 

私も慌てて笑い返した。

 

華やかな表舞台にいながら、深夜のカラオケで泣いていた彼を思い出した。

 

私も、これからどんな事があっても頑張ろう。

 

そしてたまに、吉田拓郎で泣くんだ。

 

 

「あの電話番号どうしたっけなあ…」

そんなことをふと考えていた。

 

テレビ局のエレベーターは上階を目指して進む。

 

 

 

 

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