各月に対応した誕生石という概念。
守護石として、その人に合った誕生石を身につけることで幸運が訪れると言います。
今回は7月の誕生石について解説します。
誕生石の意味
誕生石は旧約聖書に由来を持つ、守護石という概念から生まれたものと言えます。
それぞれの月によって対応する宝石が決まっていて、その月に生まれた人が対応した宝石を身に着けていると災いを退け、幸運を呼び込むと言われています。
いわゆるおまじないやお守りの一種であり、他にも同じく守護石という概念として星座石や干支石などがあります。
7月の誕生石①ルビー
7月の誕生石、1つ目はルビーです。
宝石の中でもサファイア、エメラルド、ダイヤモンドに並んで有名なものの1つでしょう。
上記の3種と合わせて世界4大宝石と称されることもあります。
ちなみに宝石としてはサファイアと同じコランダムという鉱石であり、含んでいる不純物によってルビーかサファイアかに分かれます。
ちなみにエメラルドは別の種類の鉱石であり、ダイヤモンドはこれも有名ではありますが、炭素系の鉱物だったりします。
色・特徴
特徴といえばその赤い色でしょう。サファイアは黄色や白色のイエロー・サファイアやホワイト・サファイアがあるのに対し、ルビーは色の濃さの差こそあれど基本的には赤色系の色のみになります。
鉱石としての特徴は、コランダムの不純物にクロムが混ざっているという事。
このクロムが赤色になる要因であり、原則クロムが増えるほど赤色が濃くなり、クロムが多すぎると黒色寄りになり、価値が下がります。
ルビーやサファイアと言えば透明なイメージが強い方も居るかも知れませんが、どちらも基本的に透明なものから不透明なものがあります。
基本的には透明度が高いものが価値が高くなる傾向にありますが、ルチルが含まれることで光を当てると反射光が星状に見えます。
いわゆる「スタールビー」というのはその性質上透明感の無い、不透明なルビーの方が見栄えが良くなるため、スタールビーに関しては不透明な方が価値が高くなったりもします。
クロムの配合率で色が変わると言いましたが、コランダムがルビーとして判断される基準はクロムが1%以上混入している場合で、クロムが0.1%程度の薄い赤色のコランダムはピンク・サファイアという名前でサファイアに分類されます。
クロムの混入率が5%にもなるとエメリーという工業用研磨剤としての用途に使われ、価値は大きく下がってしまいます。
そのためルビーの価値が最も高いのはクロムの混入率が1~2%以内のもので、これを超えると価値が下がっていきます。
そしてこの1%の混入率のルビーというのは、自然においてとても稀なため、天然もののルビーはとても貴重だと言われています。
更にルビーの品質を表す銘柄の1つに「ピジョンブラッドルビー」というものがあります。
主にミャンマー産のルビーはピジョン・ブラッドと呼ばれ、最高級の品質を誇っています。
上記の通りピジョンブラッドルビーと呼ばれるのはあくまでもミャンマー産の最高級品質のルビーだけではありますが、海外では産地を不問とした上で一定の濃い赤であればピジョンブラッドと記載されます。
対して日本の鑑別書ではミャンマー産と確定した上で一定以上の色である場合のみピジョンブラッドルビーと記載されます。
これは元々ピジョンブラッドという色はイギリスの王室がミャンマー産ルビーに与えた色であるため、日本はこれに則りミャンマー産ルビーにのみピジョンブラッドと記載するようにしています。
そのためピジョンブラッドルビーが欲しいという方は、日本の鑑別書でピジョンブラッドと記載されているものを選ぶと良いでしょう。
由来・伝説
ルビーの由来はラテン語で赤を意味する「ルベウス/rubeus」とされています。
ルビーの歴史は青銅器時代には存在しており、古代ギリシアでは石炭の意味を持つ「アンスラックス」と呼ばれ、ローマでは「カルブンクルス」と呼ばれ、またインドでも古くから確認されていたという記録があります。
現在のルビーという名前が使われたのは中世からで、アラビアやペルシアでは病気が治す力があるとされ、他の宝石同様医学の分野でも用いられていました。
現代ではダイヤモンドなどと同様工業用にも用いられており、レコードの針や腕時計の軸受などに用いられており、現在はほとんど使われていませんが、かつてはレーザー技術にも用いられておりルビーレーザーという技術がありました。
和名・宝石言葉
和名は紅玉、紅色の玉というそのままのわかりやすい名前です。
ルビーの宝石言葉は
- 情熱
- 熱情
- 純愛
- 仁愛
- 仁徳
- 勇気
など。
同じく赤が特徴的な薔薇、これは色によって意味が変わってきますが、赤い薔薇の花言葉も似たような情熱やら愛に関係する言葉があり、「赤色」というイメージから連想される言葉であると言えます。
花言葉も宝石言葉も、宝石の色の違いで言葉が変わったりもしますが、色の種類が多いサファイアとは異なり基本ルビーは色の濃さの違いしか無いため、宝石言葉も上記の通りになります。
ただ、サファイアもルビーも同じコランダムだと考えると、コランダムという鉱石に複数の色があるとも言えます。
効果
そんなルビーのパワーストーンとしての効果は
パワーストーンとは、宝石(貴石・半貴石)の中でもある種の特殊な力が宿っていると考えられている石のこと。その石を身に付けるなどしていると良い結果がもたらされると愛好家などから信じられている。
引用:ウィキペディア
- 勝利を呼び込む
- 情熱や生命力を高める
- カリスマ性や他者とのチームワークが良くなる
といったものがあります。
また恋愛において積極的に行動する意識ができたり、精神力が強くなったりもします。
7月の誕生石②インカローズ
7月の誕生石2つ目はインカローズという鉱石です。
他の呼び方としては菱マンガン鉱、ロードクロサイトというものがあります。
炭酸塩鉱物であり、名前の菱マンガン鉱の名前の通りマンガンを豊富に含んでいるため、マンガンを目当てに掘られることもありますが、その見た目から半貴石として取り扱われる事もあります。
形状は様々で、環境によって変化します。
単純に綺麗な結晶体として生成されることもあれば、球状の塊が集まった葡萄状鉱石という形で算出されることもあります。
透明なものもあれば不透明なものもあり、光沢に関してもガラスのような光沢を持つ事もあれば、真珠のような光沢を持つ場合もあります。
宝石として珍しいかというとそんな事は無く、銀や銅の鉱山などで副産物として排出される他、世界中で産出されます。
なかでも主要な産地はアルゼンチンやペルー、メキシコです。
色・特徴
色は含んでいる不純物によって変わり、主に鉄・マグネシウム・カルシウムが含まれており、これらが少ないとピンク色から暗赤色までの赤系統の色合いになり、逆にこれらの不純物が多いと白色や黄灰色、黄褐色、褐色といった色合いになります。
基本的に宝石として用いられるのは鮮やかな赤色のものが多いため、一般的には赤色のイメージがあるでしょう。
特徴としては上記の通り様々な形状があるという事。
例えばひし形や平行四辺形の結晶体や、板状だったり、球体状だったり、葡萄状だったりと、環境によって色々な形で存在します。
ただ、空気や湿気によって酸化しやすい関係上すぐに色が悪くなったり、モース硬度も低く壊れやすく傷つきやすい関係上、扱いにくいというのが特徴でもあります。
モース硬度(モースこうど)、モース硬さ(モースかたさ、英語: Mohs hardness[1])またはモース硬さスケール(モースかたさスケール、英: Mohs’ scale of hardness[2])は、主に鉱物に対する硬さの尺度の1つ。硬さの尺度として、1から10までの整数値を考え、それぞれに対応する標準鉱物を設定する。
引用:ウィキペディア
世界中で副産物として産出される関係上安いのは安いのですが、扱いに気をつけないとすぐにダメになってしまいます。
由来・伝説
名前であるロードクロサイトの由来は「バラ色の石」であり、インカローズは「インカの薔薇」であり、かつてインカ帝国が栄えていたアンデス山脈を中心に産出される事が由来となっています。
宝石の中では一般的に宝飾用に使用されるようになったのは第二次世界大戦直前と、比較的最近だったりします。
ただインカ帝国などではピンク色の薔薇模様を呈した真珠として大切に扱われていたとされています。
和名・宝石言葉
和名は菱マンガン鉱、ルビーに対する紅玉のようなおしゃれさはありませんが、名前の由来としてはマンガンの炭酸塩鉱物であり、かつ結晶がひし形である事で、炭酸マンガンと呼ばれることもあります。
インカローズの宝石言葉は
- 新しい愛の到来
- 秘めた情熱
- 清浄
など。
ローズの名が入っているだけあって、赤い薔薇の花言葉にもある愛や情熱が宝石言葉として用いられています。
効果
インカローズは生涯の伴侶との出会い、幸福な恋愛、そして結婚へと導くという効果があります。
基本的に恋愛関係にあるものを良い方向に導くという効果が期待できるため、恋愛に興味があったり、あるいは失恋して少し恋愛に臆病になっている人におすすめです。
7月の星座の宝石
続いて7月の星座の守護石を解説しましょう。
7月生まれの人が該当する星座は6月22日生まれから7月22日生まれの人に当てはまる蟹座と7月23日から8月21日生まれの人が当てはまる獅子座の2つになります。
それぞれ蟹座はパールとムーンストーン、獅子座はダイヤモンドとルビーです。
まずはパールとムーンストーンの解説から。
パールとは真珠であり、真珠は貝の体内で生成される「生体鉱物」と呼ばれる石になります。
実はこの生体鉱物、別に珍しいものでは無くとても身近な存在であり、ある意味誰でも知っていて誰でも持っているものだったりします。
それこそが「歯」です、我々人間を始めとした多くの生物が有する歯も生体鉱物に分類されます。
真珠は貝の貝殻部分を生成する膜が貝の体内に入り込む事で、そこから真珠が生成されます。
つまり真珠は成分としては貝殻と同じであるとも言えます。
古くから薬として重用されており、現代でも風邪薬として真珠を粉末したものが用いられる事もあります。
真珠の宝石言葉は
- 健康・長寿
- 富
- 純潔
- 完成
- 円満
といったもの。
中でも誕生石としての宝石言葉は健康と長寿、富の3つです。
薬としても使われている、という真珠にぴったりな宝石言葉だと言えるでしょう。
真珠のパワーストーン的な効果としては、健康な状態を促してくれたり、イライラなどを鎮めて感情を安定させる効果があるとされます。
また、円満という宝石言葉の通り、周囲の人間関係が良くなる効果も期待できます。
ムーンストーンとは長石類、言ってしまえばどこにでもあるような鉱物グループの1つで、中でも外観の美しい、宝石のような輝きを持つものが月長石という名前を与えられ、宝石として扱われています。
この点では上記で解説したインカローズと同じ希少性の薄い宝石だと言えます。
名前の由来はカボション・カットを用いた長石の輝きを月の光に見立てた事からで、直訳すれば月の石ではありますが、上記の解説の通り別に本物の月の石というわけではありません。
もう1つの由来として、ギリシャ語で月を意味する「セレニテス」というものがあります。
ムーンストーンの石言葉は恋の予感・純粋な恋、そしてホワイト・ムーンストーンは計画という宝石言葉を持っています。
インカローズと同じく恋や愛に関係した石言葉を持っていますが、どちらかと言えば「恋の成就」よりは「出会い」の意味合いが強いと言えるため、新しい出会いが欲しいという人におすすめです。
パワーストーンとしての効果は愛を伝える・永遠の愛や感受性を高める、月のエネルギーを受容するといったもの。
宝石言葉に続いて愛に関係する効果を持ちます。
次はダイヤモンドとルビーですが、ルビーは既に解説したのでダイヤモンドのみを解説します。
ダイヤモンドは炭素系の鉱物で、現代においては宝石の王として最も有名な宝石と言っても過言では無いでしょう。
モース硬度という鉱物の硬さの指標の1つで最も硬いモース硬度10を記録しており、世界で最も硬い天然物質とされています。
ただあくまでも「傷がつきにくい」というだけであって衝撃にはあまり強くなく、ハンマーなどで一方向から強い衝撃を与えられると割れたり、傷が入っている場合、その傷に衝撃を与えると比較的大きくない衝撃でも簡単に割れてしまったりもします。
ただ傷つきにくいという事は他の物質に傷をつけやすいという事でもあるため、研磨剤などに用いられる事が多く、ダイヤモンドカッターという名称を聞いたことがある人も居るでしょう。
ダイヤモンドの宝石言葉は
- 永遠の絆
- 純潔
- 不屈
など。
最も硬い物質として、壊れない永遠の絆や不屈、無色透明で美しい石という一般的なイメージから純潔、とダイヤモンド自体の特徴に一致した宝石言葉だと言えるでしょう。
パワーストーンとしての効果はネガティブな感情・マイナス思考を晴らすという効果や、目的に向かってのパワーを増幅させる効果などがあります。
また同じく「成功」という側面がある石であるため、嘘偽りを見抜き、失敗や罠を回避する事ができるとされています。
誕生石の楽しみ方
誕生石について一通り解説した所で、最後に誕生石の楽しみ方について語りましょう。
といっても難しい事は無く、ただ効果を知り、お守りとして身につけておくというだけの事だったりします。
絶対的な、それこそ薬品のように科学的根拠による理屈こそありませんが、必勝祈願のお守りに科学的根拠を求めるのはナンセンスなように、守護石に科学的根拠を求めるのもナンセンスだと言えるでしょう。
まとめ 7月の誕生石はどちらも情熱と癒しのパワーを秘めている
以上、7月の誕生石について解説しました。
やはり赤色は情熱というイメージが強いのか、ルビーもインカローズも情熱という石言葉や効果を持っています。
今回解説した事は以下の通りになります。
- ルビーは情熱や仁愛を意味し、勝利を呼び込んだり生命力を溢れさせる効果がある。
- インカローズは愛の到来や情熱を意味し、新たな出会いと結婚へと導く効果がある。
- パールは健康や富を意味し、心身の健康を保つ効果がある。
- ムーンストーンは出会いを意味し、感受性を高めたり月の光からパワーを得ることができる効果がある。
- ダイヤモンドは永遠の絆や純潔を意味し、目標達成への強いパワーやネガティブな思考を排除する効果がある。
以上の点を踏まえ、自分が求める石をアクセサリーとして身につけると良いでしょう。