外資コンサルは見たー対等合併の嘘と罠ー

これはもう10年近く前のこと。

まだ私が社会人2年目で少しだけコンサルタントとしての仕事のやり方を覚えた頃のお話しである。

また過去のこととはいえ機密事項も含むことから、時期やスキーム、登場人物はフィクションも混ぜており、架空のストーリーだと思ってほしい。

 

業界3位A社と5位B社の合併が発表され、その統合プロジェクトが発表された際、

私の所属するZZZコンサルはPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)として、業界5位のB社から発注を受けた。

我々の支援期間は6か月予定で、会社が合併する際に最も先に統合するシステムである会計システムの統合がスコープであった。

 

メンバーはジュニアが私1名上にマネージャが2人という体制。

なおマネージャのうち1人(逃田M)は他社から今月入社のため、キャッチアップしながら業務をすることになっていた。

また、もう一人のマネージャの只野Mは社内ではかなりパワハラ体質で知られており、私も覚悟してこのプロジェクトへ臨んだ。

まず、B社の財務担当の佐藤役員と田中部長、そしてB社のシステム子会社であるBシステム社の鈴木部長との初回面談時、このプロジェクトの難しさに我々は気づいた

怪しい要件定義

 

佐藤役員「話が全然違うんだ、この合併は対等合併と合意したはず。しかし蓋を開けてみればすべてA社に合わせるように要件定義されている。」

 

合併の場合、システムは大きい方の会社に寄せて統合することが多い。

今回は対等合併かつ、ほぼ同規模のためこういう事案は揉めることがしばしばある。

 

田中部長「我々の会計システムは貴社にも支援してもらい昨年刷新したばかり。業界的にも最も進んでいる部類に入るはずです。しかしそれをA社は旧世代のシステムに合わせろと言ってきているんです。」

鈴木部長「要件定義ですが、この内容で合意させられそうになっており相手はABMコンサルティングがついているようです。鷲田さんという方が担当ですが、中々手強くこのままではまた旧システムに逆戻りしてしまうんです」

只野M「ご事情はよく分かりました。この件、頭岳社長はご存知で?」

頭岳社長とは、B社の社長で新会社の社長が内定している人物である。

今回の合併を決断し、業界上位との対等合併を勝ち得たとして、B社内では評価が高い人物である。

佐藤役員「何度も説明した。しかし、今回対等合併を認めてくれた先方に負い目があるのか、あまり取り合ってくれていない。全て現場に任せるとの意向だ。」

只野M「三茶、お前去年まで大阪の金融機関の統合やってただろ?今回の要件定義読んで、B社のシステムに寄せた方がいいっていう資料書けるよな?」

「はい、それについてですが、まずは要件定義の内容やA社のシステム構成や使っているソフトウェア、仕様書などを定義した資料をご提供頂くことは可能ですか?比較元がないと比較しようもありませんので。」

鈴木部長「それがですねぇ、何度も催促しているのに要件定義以外全然提供してくれないんですよ。」

「それはおかしいですね。これからひとつの会社になるという会社同士で。何か問題でも?」

鈴木部長「A社のシステム担当の人は、詳しい仕様はABMコンサルのSI部門の人しか知らないから彼らと話してくれって一点張りで。でもABMコンサルはとにかく要件定義の承認を迫ってくる一方で、かれこれ1か月膠着状態なんです。」

「それは…。」

只野M「つべこべ言わずに書けよな。仮説思考って知ってるだろ。B社システムの特徴を第三者としてA社に伝えるだけだ。それでも歩み寄る余地がなかったらその時に判断すればいいだろう。そのために佐藤さんも第三者として我々に頼っているんだからな。」

「わかりました」

 

私と、その会議中ひと言も発していないのに何故か汗だくになっている逃田Mは、只野Mの抽象的な指示のもと、要件定義書を読み解き、B社のシステム基盤上で統合を実現した際のKstep数概算(開発の規模のイメージ)や今後の拡張性を2週間かけて報告書としてまとめた。

また、その間にA社のシステムについても社内の有識者赤木Mに相談し、どうやら4つのシステムに分かれていることを突き止めた。

 

 

「なんでこのA社のシステムは4つに分かれているんですか?」

赤木M「そりゃあねぇ、4階建プレハブ構造だよ。A社は5年くらい前に4社が合併してできただろ?1階は旧a社、2階は旧b社、3階は旧c社、、、、ぜーんぶそのまま残ってるからね。多分最後は、各アウトプットをエクセルかマクロかなんかで編集しているんじゃないかな?」

「今回の要件定義は旧a社に寄せて作られていますね。これの理由はわかりますか?」

赤木M「これは論理的には意味がわからない。旧a社のシステムは統合した4社の中でも最も古い。まぁ会社の規模的には一番大きいけれど、もしかしたら社内政治的な事情があるかもしれないな」

 

~2週間後 佐藤役員への報告~

 

「………というわけで、御社(B社)のシステムを利用した方が、開発規模は30%ですみますし、今後のシステムのオープン化という流れにも逆行しません。よって、QCDや今後の発展性も含めて、会計システムはB社のシステムをベースに統合することが客観的な意見として最適と考えます。」

只野M「そういうわけです。佐藤役員、一度頭岳社長とお話されてみてはいかがでしょうか?」

佐藤役員「わかった。ちょうど、今週頭岳社長とABMコンサルティングを含めた、統合事務局の定例会がある。その場に貴社にも同席いただき、本件を説明したいと思う。」

田中部長「短い期間でお調べいただきありがとうございます。特にこの拡張性がある、という部分が今後の合併後の姿として非常に意義があると思うんですよ。」

~統合事務局定例①~ABMコンサルティングの嫌なSM

鷺田SM「頭岳社長、本日は要件定義に合意いただけるということでよろしいですよね?」

頭岳社長「その件だが、一度現場のメンバーの意見を聞いたところ、弊社のシステムにもいい面があるようで、話だけでも聞いてもらおうと思っている。では、田中くん」

田中部長「はい、弊社の会計システムは昨年XAPのパッケージへの刷新を完了しており、今回のA社のシステムを統合した場合のコス…」

鷺田SM「ああ、いいですそういうの。うちでも試算していますので。統合日は一刻の猶予もなく迫っています。田中部長、あなた悠長なことを言っていて、間に合わなかったらどうするんですか?まぁ現メンバーでは合意できないということですね。わかりました本日は以上としましょう。」

頭岳社長あと、あなたたちはどなた?」

「ZZZコンサルティングの三茶と申します」

鷺田SM「佐藤さん、統合コストが増えているのは財務担当役員のあなたならご存知ですよね。無駄は極力減らしていきましょうよ。では。」

 

~その1週間後~

 

只野M「佐藤役員が子会社社長へ転籍。田中部長は管理会計の部署へ異動、システムの鈴木部長にいたっては畑違いの基盤運用部へ異動だってさ。完全にABM経由でA社から申し入れが入ったんだろうな。」

逃田M「私たち余計な事しちゃいましたかね」

「是が非でもA社のシステム、もっと言えば旧a社のシステムに寄せたい理由があるのでしょうか。」

只野M「一旦我々としては、後任の人たちと仕事することになるだろうから、要件定義の内容見返しておけよ。もうあれで100%作るんだからさ。」

「でも我々のロールはPMOですよね?そこまで要件定義を詳しく理解する必要もないのでは?」

只野M「そういうのが無責任って言うんだよ。自分で作れるほど理解しないと成長しないぞ」

 

その2週間後、只野Mは急遽退職しプロジェクトを去っていった。

代わりに遅野Mがアサインされることになりプロジェクトの状況を引き継いだ。

~1ヶ月後 統合事務局定例②~裏切りと罠

鷺田SM「本日は会計システムの要件定義に合意いただきありがとうございます。佐藤役員の代わりに入られた目立役員の迅速なご判断に感謝いたします。また本日より、開発迅速に進めるための体制図を発表いたします。まず、Bシステムの部長として弊社ABMコンサルティングの社員を出向させ、開発ノウハウを存分に提供させていただきます。 では只野さん、みなさんに一言。」

逃田M・遅野M・私「!!!!!!!」

只野部長「えー、これまではZZZコンサルにいたので、顔見知りの方も多いですが、今回は立場を変えてこのプロジェクトの統合に携わらせていただきます。よろしくお願いいたします。」

鷺田SM「そして、もう一つ重要なお知らせがあります。これまで前任の佐藤役員に合意いただけなかったため、要件定義の合意が遅延してしまいました。 開発を残り2ヶ月間で完了させ、テストフェーズに移行するため、B社システムに精通した開発リソースの確保が必要です。そのため、ZZZコンサルティングの皆様にはPMOではなく、開発支援として関与いただきます。」

逃田M「いえ、ちょっと待ってください。契約書上我々はPMOとなっているはずでは?」

鷺田SM「いいえ?御社と先月取り交わした契約には、PMOおよび開発支援となっております。是非只野部長を積極的にサポートしていただければと思います。」

 

 

退職前の契約更新時に只野Mが契約内容を更新したことを我々は知らされていなかった。

そして、我々は当時としては最新のシステムを最古のシステムに書き直すという意味不明なプロジェクトの沼にまんまと嵌められていることに気づくのであった。

その裏にある統合前システムを保守するSIerの覇権争い、役員数は同等だが主要部門の役員をA社が占める取締役会など、様々なドラマが待ち受けるのだが……

 

その話はまた今度にしよう。

 

 

続く

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